欧米では、キャリアアップのために転職をすることは日常で、日本のように必要以上に転職回数に対し神経質になる必要はない。むしろ転職理由さえはっきりしていれば、前向きなキャリアアップとして捉えられることが一般的だ。「今の会社が好きだ!」と言う人は別だが、以下のような状況にあてはまるのであれば、転職を一考するのも当然の状況だ。まずは自分自身の状況と照らし合わせてみよう。
1、職務内容が変わった
外資系企業で勤めている中で組織の体制やビジネスの方向性が変わることはよくある。それにより、当初聞いていた職務内容(Job Description)と大幅に変わってくることがある。
1つの職能を伸ばしてその道のプロフェッショナルになるのが一般的な外資系では、そもそも目指しているキャリアの方向性とは全く違うタスクをする場合は、転職を検討することは珍しいことではない。また、実際に転職してみたが、説明されていたJob Descriptionとはまったく違う役割も担うことがある。
このような場合は、そもそもの役割とは違うということをまずは直属の上司に伝えた上で、改善できないようであれば転職を検討してみるという流れでも良いと思う。グローバル企業で、組織のストラクチャーや役割が本社(Head Quarter)で決められてしまうような場合は、職務内容を大幅に変えることは難しいかもしれない。
2、企業の倫理観、価値観が自分にあわない
もちろんこれ自体が転職先に説明する退職理由にはなり得ないが、長期的に見てその企業のカルチャーが自分に合わないということは、何かしらのストレスが発生しているはずだ。ストレスが生じているため、風邪をひきやすい、体調管理ができない等、自分の体に顕著に現れる人もいる。
また、会社全体の価値観が違うと、その会社の上司やマネジメント層の意思決定の基準に納得できないということになる。次第に疎外感を感じるようになる。
(ちなみに、転職検討理由として最も多いのは”人間関係”で、特に上司との意見の不一致だ。)
私自身、自分自身の価値観とかけ離れた会社に所属した経験があり非常に苦しんだことがあった。これを教訓に、できる限り入社前に確認できることはすべて確認するということにした。
その企業のカルチャーを見極めるには、まずはその企業の理念を知ることが大切だ。上司や面接官に直接尋ねる、どのような人が多いのか聞いて見る。そしてできる限り多くの人(特に身近なチームメンバーや上司)と話してみて、人間性などを見て判断することをお勧めする。
なぜなら、カルチャーフィットは入社後に変えることができるようなことではないからだ。そこで働く以上、その価値観であなた自身のバリューを相対的に見られることになる。双方にとって不利益なこととなる可能性が高い。
3、やりたいことができない
自分がやりたいことが明確なのに、同じこと(自分がこれ以上やりたくない職務)を向こう数年やり続けることになる可能性が高い場合がある。この場合、まずは部署間の移動でその要求が満たされる場合は、上長や社内の人に確認し、移動する方向で動いてみよう。状況を変えることができそうになければ、動く必要が出てくる。やりたくないことを何年も我慢してやるほど人生はそんなに長くない。
やりたいことがあるというのは、一番自然な転職の動機である。次の職場への転職理由も相手企業にわかりやすい。あなたがやりたいというポジティブなエネルギーに満ち溢れているということは、企業も好意的に見るのが一般的だ。
しかし、あなたが在職している企業で、新たにやりたいことが見つかったが、その企業ではで自分のやりたいことの実現可能性が見えないならば、動く必要がある。気をつけなければいけないのは、自分がやりたいことが、今のキャリアの延長線上にあるかどうかだ。20代ならともかく、40代で全く違うジャンルであらたに自分がやりたいことがある、というのは一時的に現実逃避でやりたくなっているか、趣味を始めたいというレベルの可能性もある。その辺の見極めは慎重に行おう。
以上があなたが転職を考えるべき3つの理由だ。
これ以外にもちょっとイレギュラーかもしれないが、アップルコンピューターの創始者スティーブジョブズは、毎日自分の顔を見て、「今日が人生最後の日だとするとこの仕事を本当に続けたいか」と自問していたという。やりたくないと思うような日が何日も続けばそれは動くべきサインだといっていたが、このような方法も私はありだと思う。
人間の直感は説明ができないほど、的確に捉えていることがあるからだ。
自分で判断がつかない場合には、まずは信頼できる第三者や第三者機関に相談してみよう。