外資系の転職市場では、優秀な人材のヘッドハントが盛んに行われている。
特に日本の転職市場において、優秀な一流のスキルを持ち、かつグローバルに働くことのできる人間が非常に少ないため、いわゆる候補者が不足している状態である。
今回は、ヘッドハントの内容やプロセスが実際の現場でどのように行われるかを紹介したいと思う。
ヘッドハントの種類とそのプロセス
ヘッドハントには、2種類ある。1つは、面識もないのに急に職場にコンタクトを取ってくるパターンであるが、これはネームコレクトといって、そのエージェントに登録されている候補者の母数を増やすために若手がガンガン新規営業のようにやっているケースが多い。特に今、具体的な案件があるわけではないが、将来のために関係性を作っておくためにするヘッドハントだ。
もう1つは、ヘッドハンターによって過去にデータベースに登録された人に声がかかるケースだ。
後者でも、特にエグゼクティブ系のヘッドハント会社や人材紹介エージェントは、名だたる企業のエグゼクティブの名簿があり、名指しでヘッドハントの依頼がかかることもある。通常の紹介手数料は、年収の30%前後が相場だったりするが、エグゼクティブ人材名指しのヘッドハントはさらに報酬額も大きいため、ヘッドハンターとしてもやりがいのある一大案件である。
一般的にヘッドハントのプロセスは概ね以下のようなものである。
1.ヘッドハンターとの面談
2.データベースに登録される
3.企業への推薦
4.採用プロセスへ
このような流れであるが、まずはヘッドハンターのいるエージェントに登録することが最初のステップである。かなり選り好みするエージェントもあるため、登録まで至らないケースもある。
エージェントとの面談の際までに自分自身のレジュメを完成させて持って行こう。大切なことは、エージェントとの面談の際にも、自身のPRを抜かりなく行うことだ。なぜなら、エージェントは一人一人の候補者のスキルを細かくチェックしてデータベースに登録するからだ。それにより、後で他のヘッドハンターが見た際にも、良い情報が書いてあるほうが多くのヘッドハンターから声がかかりやすい。
さらに言うと、この面談の時点で、候補者のコミュニケーションスキル、地頭の良さなどを見ていることが多い。つまり、面接でこの候補者はどのようなパフォーマンスをするだろうかということをその時点で既に見ているのだ。つまり、彼らにとっても、お金になりそうな候補者かどうかということを判断する機会なのである。
なので、あなたが持っているスキルはもちろん、これまでの転職の経緯も本番の面接と同じように、できる限り前向きに伝えるように準備しておこう。
外資系の人材エージェント
本国に日本展開している外資系人材エージェントは、いわゆる日系のエージェントとは性質がかなり異なる。まず一番大きな違いは、抱えているクライアントが外資系企業がメインとなる。本国のほうから案件が降りてくることもあり、大手で良質なクライアントと良好なリレーションが取れているエージェントも少なくない。また、優秀な人材(主に、中途で即戦力となる人材)をメインで扱っている。また、恒常的な人材不足のため、常に新規ヘッドハントの電話などで人材を探している。
外資系人材エージェントは、外資系企業への転職の際の情報集には欠かせない存在である。長くつきあいのあるクライアントの組織図などをすべて把握していて、各部署のキーマンを抑えているエージェントからは、面接の傾向と対策も熟知しているため、分かりやすいアドバイスがもらえる。
また、企業によっては、非常にユニークな面接方法を取る会社もあるので、その企業向けに細かく面接対策、やシミュレーションを行ってくれるところもある。
優秀な人材はその分、お金になるので時間もかけるのだ。
ヘッドハンターとうまく付き合っていくためには
外資系企業を渡り歩いていくと決めたからには、ヘッドハンターとうまく付き合っていくことも必要だ。なぜなら、彼らが企業から新しいポジションの募集について一番早く依頼を受けるからだ。中には、公にできない事情があり、非公開にしている案件などもヘッドハンターは数多く持っているためそのような情報をいち早くもらえるようにしておこう、
そのためには、日ごろから、自分自身の経歴(英文レジュメ、CV)を定期的に更新して、担当のヘッドハンターに送ることや、ネットワーキングのイベントがあった際には顔を出してみるなど日常的にコミュニケーションを取っておこう。
連絡を絶ってしまうと、また1からのスタートとなってしまうこともあるので、良好な関係を築くことをお勧めする。ヘッドハンターの中には日本人外人問わず、非常に気さくな人も多いので、日常的に候補者とご飯を食べに行ったりする人もいる。彼らもまた、優秀な候補者との関係性を保つことが大切なのである。
このように、エージェントにとってはデータベースにいる候補者の質や数が非常に大切である。また、候補者にとっては、入ってくる情報が多いほうが良い。
そのため、優秀な人材であればあるほど、エージェントやヘッドハンターとWin-Winの関係が築けるはずだ。また、一人の信頼するヘッドハンターがいることも大切だが、人によって、あるいはエージェントによっては担当する業界や企業規模がまったく違ってくるため、複数のエージェントに登録しておくことが望ましい。