石倉洋子氏著「グローバルキャリア」の書評|外資系虎の巻ー外資系企業転職の心得ー

書評

 

石倉洋子さんという方の「グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方」という本を読んでみた。

ご自身がグローバル人材として幅広くご活躍されていて、グローバルなキャリアパスを作るための多くのヒントが書かれていたのでここに紹介したい。

 

機会を捉える方法

”機会を機会と捉え、すぐつかまえようとするか、機会はまた来る、もっと良い機会が来ると考えてやり過ごすか、は、「時間への感度」と、それが自分に何かをもたらす機会であると「直感」するか、によって決まります。”

自分自身のキャリアパスを設定することが大切だが、実際にやったことのない職種など考えようがない、と思われる人もいるだろう。

実際に、グローバルに活躍しているビジネスパーソンでも、最初から明確にやりたいことが決まっていたという人はそこまで多くない。そして、多くの人がなんとなくやりたいという方向に進んで行き、その中で色々な選択肢を試している中で、自分が好きなことや得意な分野が分かるようになっていくことが多いという。そこで、自分だけのユニークな組み合わせができて、最終的にオリジナルなプロフェッショナルとなったという人が多いと石倉さんは言っている。

たしかに、私自身もそうだったが、20代のうちは自分がどのようなことがやりたいかを考えながら探すくらいの心構えでよいと思う。あまり最初からがちがちに計画を立ててしまい、完ぺき主義になってしまった方が挫折感も大きいだろうし、挽回するのが難しくなるだろう。

ぼんやりとした将来のビジョンの中でも、直感的にやりたいということを追いかけながら、進んでみるのが良い。

 

そして、キャリアパスを作り上げていく中で、様々な機会やきっかけがあることを逃さないようにすることが大事だという。その方法も紹介したい。

すぐやる課

何か重大な意思決定でない限りすぐにやってみる。とにかくやってみることを進めている。とにかく始めてみて、方向転換が必要ならすればいいし、逆にやっぱり興味がないなら辞めればよい。

個人がちょっとお金を投資するだけで新しいことにチャレンジであれば、そもそも悩まずに始めてみればよいということである。

スティーブ・ジョブズ氏もやりたいことを探し続け、「これまでやってきたことが後になって点が線として繋がっている。」と言っていた様に、まずは興味をもったものにトライするチャレンジ精神が必要だ。よくありがちなのは、自分が新しく試してみようということを、あまりに分析的になりすぎていて、なかなか一歩前に進めない状態だ。これでは、「もっと良い方法が他にもあるのではないか。」と延々模索を始めてしまう。それよりは、まず一歩踏み出してみて考えるほうが有効だ。

じつは、このすぐに行動してみることやまず取りかかってみることというののは、モチベーションマネジメントでも有効だと言っている人が多い。また、脳科学的に見ても、まずとりかかってみるとそこで初めて脳が活性化してやる気が出るそうだ。

目標の見える化

まず目標を数値化することだけでなく、何か目標を立てたときに、その目標を「棚卸し」することの重要性について説いている。

そして、自分がその目標のどの地点にいるかを都度、棚卸しして確認する。棚卸しの頻度もあらかじめ決めておくのが良い。

また、就業している人は、就業している時間以外の時間を何につかっているかを記録することが大事だ。そしてその時間が自分が向かっている方向とはまったく違うことに費やされているのであれば、軌道修正を行うことが大切だという。たしかに、これはかのドラッカーもタイムマネジメントの方法として一番最初にやるべきだと言っている方法だ。それは「自分の時間が何に使われているかを把握すること。」

また、石倉さんは、時間を記録することにより、自分のスタイルが見えてくるという。それは自分が一番効率よく働けるのは朝なのか、夜なのか、ということである。これにより、朝方か夜型を特定し、一番効率の良い時間にプライオリティの高いタスクを持ってくることができる。

 

石倉洋子さんは、グローバル人材として非常にユニークな経歴を持つ人だ。

7年間のフリーター生活ののち、米国でMBA、DBA取得のち、30代の後半で戦略系コンサルティング会社マッキンゼー入社した。その後は大学で教鞭を取ることになる。

石倉さんご自身の経歴を紹介する中で、考えながら進んでいることが良く分かる。MBAの授業で自分が興味を持てることなどを見つけたり、コンサルティングファームで自分のポジショニングを試行錯誤する様子は非常にリアリティがあり、興味が持てた。

本書では、他にも多くのグローバル人材のキャリアパスを実例として上げている。その中には、大手日系企業から外資系に行き、最終的には起業した人や、大企業で勤めながらにして大きな責任を持つことにやりがいを持つ人のキャリアなど、非常に学ぶところが多かった。

Leave A Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です